イベントレポート:「QTVR Diary -OFFLINE- in TOKYO」(その2:イベント編)
昨日に引き続き、先月12/13(土)にアップルストア銀座で開催した当ブログ主催のイベント「QTVR Diary -OFFLINE- in TOKYO」のイベントレポートをお届けします。今回は本番のイベントの内容について、お話します。
改めて、今回ご登壇いただいたゲストスピーカーの皆さんをご紹介しておきます。
- 大谷和利氏:IT評論家代表
日本のITライターの第一人者。パノラマ写真にも非常に造詣が深い - 高木義人氏(有限会社ノーザンライツ):パノラマクリエイター代表
札幌在住。フルスクリーンCubicVRを日本に広めた第一人者。原爆ドーム内部ムービーで有名 - 目黒親芳氏(オリンパスイメージング株式会社デザインセンター):カメラメーカー代表
パノラマ合成機能搭載カメラや、ハイビジョンパノラマ投影機など、斬新なアイデアを市場に - 宮田敏英氏(株式会社ティー・エム・エス):3DCG代表
Cinema4Dの取扱の他、3DCG素材としてのHDR全方位パノラマ画像の販売も - 生島勘富氏(ジーワンシステム株式会社):Web2.0代表
今秋にパノラマムービー内にコメントを残せる投稿コミュニティサイトを開設予定 - 荒井芳仁氏(ディー・リンク株式会社):パノラマソリューションデベロッパー代表
恐らく日本で一番パノラマコンテンツ制作ソリューリションを販売している
高木さんはこのブログを始めるきっかけの、まさに憧れの人。札幌在住なので普段はSkypeでの会話ですが、たまに関西に来られる際には差し呑みの機会をいただき、いつも興味深い話が尽きません。視点と作品の質へのこだわりは、さすが編集者と言ったところでしょうか。
大谷さんは昨年こちらから急接近したんですが、大阪在住をいいことに、いろんなところでお世話になりっぱなしで、本当に有難いです。生粋のMacユーザーとしては、こんなに近しくなれるなんて、夢のようですよ、ホント。
生島さんは昨年6月の「QTVR Diary -OFFLINE- vol.4」の時に会社の方が参加されていて、その関係で一緒にパノラマ撮影仕事をさせていただきました。パノラマコンテンツの新しい表現形態を具現化しようとしているそのエネルギーに、とても惹きつけられています。
宮田さんは以前よりお互いのブログを行き来していましたので、昨秋に初めてお会いしたんですが、初めてとは思えない親近感でした。ご自身でも3DCG用パノラマ画像素材を作られているので、その経験もボクにはとても役に立ってます。
目黒さんは、一昨年来プロモーション協力させていただいているオリンパスのコンパクトデジカメ「μ」シリーズの開発担当者として、この秋に初めてお会いしましたが、人懐っこい体育会系キャラで勝手に意気投合してると思っています。
そして荒井さんは、今までずっとずっとお会いしたくて、でもタイミングをずっと逃していて、今回こういう口実を作って、やっとお会いできたことに本当に感謝しています...そう、イベント当日という日に、初めてお目にかかったのでした。
このようなラインナップ...ボクが考える"トークセッション"をする現時点で最高のメンツを集めてみましたが、如何だったでしょうか?
他にも、「荻窪圭さんは呼びたいな」とか、「冨士俊雄さんは登壇してくれるのかな」とか、「Googleのストリートビュー担当者さんは呼べるかな」とか、色んな画策はあったんです...なので、これでも人数に関してはかなり絞った方なんですよ。
それでもやっぱり『90分』という制約(トークセッションの実質時間は約40分)では、6人は多かったな。せめて4人までか。3人なら、かなり余裕を持って喋ってもらえたのかな、と思いました。次回からは『3人』ってことで行きたいと思います(笑
今回はテーマがかなり壮大で、ちょっとまとめきれなかったところもありますが、各方面から来てもらったことで、様々な話が聴けて、ボク自身も非常に面白かったです...が、正直、少ない時間で出来るだけ多くの人に喋ってもらおうと、進行管理でアタマの中はグルングルンで、ついこの間まで、内容を思い出せないぐらいでした(苦笑
で、思い出す意味も兼ねて、今また、ビデオを見返してますが、やっぱり面白いお話してますねぇ。
トークセッションでは、4つのテーマについて、お話を伺いました。
- パノラマを広く使ってもらうためには?
- 収益モデルとしてのパノラマコンテンツ/ソリューション
- 「Google Maps Street View」の功罪
- 今後のパノラマの展開や展望について
各テーマで、どんなことを喋っていたのか、まとめてみましょう。
1. パノラマを広く使ってもらうためには?
まず目黒さんが
「パノラマって繰り返し見てもらえるようにしないとイケナイんだけど...」
そう、飽きちゃうんですよ、パノラマって。
次に大谷さんに訊くと
「タテパノみたいに、ブログに載せやすいフォーマットのパノラマもあるんだから、"使いやすい"提案からしていけば...」
気軽に使ってもらって、敷居を低くしないとねぇ。
パノラマの作り方を教える方法を荒井さんに尋ねると
「やってみせて作らせて、ダメだったら繰り返し....の慣れと根気。でも難しくない技術なので、習得も時間はかからない。」
普通の人は、パノラマなんて自分で撮れると思わない...それが出来た時の驚きと感情の昂りを目黒さんに、
「パノラマは出来たものをただ見せるだけでは余り感動が無く、撮るプロセスがあってこそ、動くプロセスがあってこそのコンテンツなのでは?」
iPhoneにもパノラマ合成機能ソフトはあるけど...高木さんは使ってる?
「入れたけど使ってないなぁ...予想通りの効果が得られない...ま、要求レベルが違うんだと思うけど」
ボクはPanoLabの"合成する楽しさ"はイイんだけどなぁ...大谷さんに訊いてみると、
「iPhoneは常に身に付けているのが良い。撮りたい時に撮れる。それがパノラマならなおさら!しかも無料のソフトがあるんだから使おうよ!」
気軽にパノラマが撮れるデバイスがあるんだから、それをどんどんアピールして、色んな人にパノラマに親しんでもらいましょう!
(だって、昨秋から、オリンパス以外にも、どんどんカメラ内パノラマ合成機能搭載機がどんどん出てますもン!)
2. 収益モデルとしてのパノラマコンテンツ/ソリューション
「パノラマ」というキーワードが広まり、各方面でパノラマの要求度が高くなって来た時、"プロのパノラマクリエイター"が利益をあげられる制作物はどんなものがあるのでしょうか?
高木さんは
「もう10年ぐらいやってるけど、実際のところ、パノラマだけでは喰えないのが実情。しかもパノラマという言葉そのものは周知されてるので"必然性"が無いとお金が産めない。その必然性の一つに「遺す」ためのコンテンツが上げられるが、そうなると"写真"として成立しなければならない」
パノラマコンテンツの企画提案営業はどのようにしてるのか、生島さんに尋ねると、
「おもいきって、ユーザー(クライアント)さんにパノラマの使い方を考えてもらうのもアリなのかも?パノラマコンテンツを大量にアーカイブとして持ってるところに打診して、それを広告付きで二次利用することでアフェリエイト収入を得ることも可能ではないか?グルメサイトなんかは使ってもらいやすいかも。」
写真の業界価格に左右されるパノラマコンテンツではあるが、違う価格体系にあるものとして3DCG業界が挙げられる。この辺りに関して宮田さんに伺うと
「2、3年前にはHDRパノラマの素材集がとても売れたが、その当時は誰も作れなかったから。今はそれなりに情報があるので作る人も居るが、それでも敷居の高い技術ではあるので、3DCGクリエイターとパノラマクリエイターのコラボレーションは、今後もっと密接に繋がっていくのではないだろうか。」
パノラマを欲しい人は実は潜在的にはいっぱい居るが、パノラマクリエイター側の声が届いてないのではないか?
各業界とパノラマクリエイターを結ぶマッチングシステムの登場が待たれるところか。
(これ、ウチでやんないとイケナイんですよねぇ...たぶん)
3. 「Google Maps Street View」の功罪
巷を賑わせているGMSV(Google Maps Street View)の功罪について語ってもらいました。
不動産業界では歓迎ムードなのでは?荒井さんに尋ねると、
「ウチの製品は大都市圏でまだそんなに売れてないので、ウチ自身はあまり実感ないなぁ。人があれを見て「あの技術ってスゴイね」って言ってるのを見ると「まだパノラマを知らなかったのか!」ってガックリ来る。写真表現技術の進化の流れとしては時間の問題であり登場は必然だが、Googleはそれを早めてくれたのではないか。」
パノラマ屋として「あのグーグルのストリートビューみたいなの作ってる」っていうと通じるようになった、この意味は大きいのでは?高木さんに訊いてみると、
「あえて違う意見を言うと、パノラマがあの程度の品質だと思われるとシャクだ。」
まさにその通り!解像度も低いし写真そのものとして見ても品質は高くないしね。
あと問題になってる肖像権の問題はどうか?大谷さんが語ります。
「肖像権云々よりも、技術が法律よりも先を行き、法律の整備が追いていないところに問題があるのでは?先行して動き、あとから法規を模索するしかないのかな。法律整備が追いつかないから先行技術を出せないようにすると、先端技術が伸びなくなる危惧も。前例として挙げられるYouTubeも紆余曲折ありながら、今の状態ではずいぶん落ち着いて来た感がある。GMSVもそのプロセスを辿るのではないだろうか。」
大谷さんがもうひとつ。
「駅前の雑踏をTVがズームアップで撮るシーン。今では誰も問題にしないが、出た頃は非常に問題視された。今となっては公共性の高い映像として"問わないことになっている"。この状態になるのかなぁ。なればイイなぁ。」
Googleの採った"しらみつぶし"的撮影コンテンツではない、我々パノラマクリエイターは必然性と品質の高いパノラマコンテンツを数多く提供することで、差別化をしていこう!
4. 今後のパノラマの展開や展望について
スピーカーの皆さんに、今後についてお一人ずついただきました。
荒井さん
「現在進めている建築・不動産業界でのパノラマソリューションをもっとビジネス的に確立していくよう努力を進め、さらに他業種への展開の際にはウェブ上でのマッシュアップとしてウェブクリエイター/パノラマクリエイターの参画が登場するのではないだろうか?」
生島さん
「パノラマクリエイターが作ったコンテンツを二次利用/二次加工する方法を今後も模索して、サービスとして提供していきたい。」
宮田さん
「パノラマに携わる方で3DCGを扱う方は皆無なのではないかと思うので、もっと3DCGに目を向けるとビジネス展開が望めるので、もっと親しんで欲しい。我々もその助力となるような活動をしていければと思う。」
目黒さん
「他社からパノラマ機能搭載カメラが出るのは大歓迎!業界がもっともっと広がって嬉しい。そしてこれだけ普及した中で、オリンパスのカメラが一番技術が凄いんだと、と言えるようなモノを作っていきたい。さらにパノラマデータの出力サービスを始めたので、利用の普及にもどんどん挑んで行き、第2次パノラマブームを、この1、2年で作りたい!」
高木さん
「一番大事なのは『多様性』。簡単に作れるのは大事だけど、その対極にあるハイエンドも大事。そこで重要なのは『立ち位置』。いかにして"その瞬間"に"その場"に居られるか、"もう一歩"踏み込めばどうなるか...とても難しいことだけど、チャレンジしてみたい。」
大谷さん
「iPhoneやiPodTouchはパノラマを見せることが出来るデバイス。このようなパーソナルなデバイスで、パノラマを見せて回るような活動をみんなで積極的に行おう!Apple社が昔語った"一度に一人ずつの革命"のように、地道な種まきが後々の大きなうねりになるのではないかと思う。」
さらに大谷さんが、超小型プロジェクタでiPhone上で動いているVRPodcastの映像を流して、
「ポケットプロジェクタでiPhoneの映像を映し出すことが出来る。このようなデバイスでパノラマVRを見せることが出来たら、もうちょっと人数の多い場所で見せられるのではないか?オリンパスさんにはぜひ頑張って、このようなデバイスを開発して欲しい。」
そんなこんなをしてるウチに、まとめの時間になっていまいました。
ボク自身の締めは...「みんなで盛り上げましょう。ご協力、お願いします!」という、ありきたりなものになってしまいました。
だってまだ「ブームになってない」んやもん(泣
取り敢えずは、各々が自分の活動の出力レベルを今よりちょっとだけ上げることで、ちょっとずつパノラマを広めて行くところからスタートですね。
トークセッション形式で初めてお送りする「QTVR Diary -OFFLINE- in TOKYO」は、如何でしたでしょうか?
スピーカーの皆さんの、ご自身の経験と技術と想いが凝縮されたお話は、ボク自身にとってはとても心地よく、す〜っと耳に入ってくるものばかりでした。
聴衆の皆様にもそのように届いていれば幸いです。
イベント終了直後に、昨日お届けしたパノラマムービーの撮影を行いました。
ポール撮影をしてる現場を見るの、恐らく皆様初めてではないかと思います。ああやって撮ってるんですよ!(笑
イベント中の写真を幾つか撮ってありますので、こちらでご紹介します。現場の雰囲気を感じ取って下さい。
さて明日は「協賛スポンサー編」ということで、どのような企業に協賛いただき、実際にブースはどんな雰囲気だったのかをご紹介したいと思います。
明日もお楽しみに!
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