パノラマコンテンツの制作を依頼する側に知ってほしいこと(3):動体があると、光が限定される!
さて、前回、前々回と3回に渡ってお話してきた、パノラマVR制作時に依頼する側に知ってほしいこと。
今回が最後の話題となりました。
撮影時の環境で、動く物体がある時と無い時では、仕上げプロセスが大きく変わります。そしてこの点に於いて、動体撮影時は表現の幅が非常に不利になることを、知っておいてほしいのです。
全方位パノラマ画像の撮影は、非常に特殊な環境下で行われます。何かというと「かならず光源を直視するアングルが生まれる」のです。
写真撮影時に、直射日光や照明に向けて撮影すると、その辺りが真っ白になります。
通常の撮影では出来るだけ避けて行われるものですが、それが避けられないのがパノラマです。
原則的に、パノラマデータ用の撮影時には、隣り合う写真を合成する時に継ぎ目を極力見えなくするために、露出を固定して撮影します。
白トビを防ぐために、光源に向けた時の露出に合わせて撮影すると、暗部が黒くつぶれてしまうことが殆どです。逆に、暗部もやはり写真としてはしっかり見せたいので、その部分に露出を合わせると、光源に向けて撮った写真は真っ白になります。
そこで、カメラが持つ撮像素子のダイナミックレンジをカバーするために、露出を変えた写真を複数枚撮って後で合成する、「Hight Dynamic Range(HDR)」技術が使われます。
元は3DCG業界で頻繁に使われている技術ですが、パノラマ業界でも必要性が話題になり、現在では「露出合成(Exopsure Fusion)」がオープンソースで開発され、より自然なHDR技術が確立されようとしています。
(検索フォームに「HDR」と入れれば、すごい量が出てくるんじゃないかな?)
また、この8月のセミナーイベント「QTVR Diary -OFFLINE- vol.11」でもHDRについて特集を組みましたので、こちらのイベントレポートも参照してください。
□ イベントレポート「QTVR Diary -OFFLINE- vol.11」
撮影は、カメラの「ブラケット撮影」機能を使って露出を変えて連射を行い、そのデータを用いて専用ソフトで合成を行います。
非常に便利でありがたい機能なのですが、大きなネックがあります。それは、連射のタイムラグより大きく動く動体があると、合成したときに、その動体がブレて写ってしまうのです。
パノラマ撮影の更なる基本事項として、手前から遠くまで全てに焦点を当てて撮る(パンフォーカス)ので、レンズの絞りを、かなり絞って撮影することが多いです。(f8~f16~f22)
従ってそれだけ絞って撮りますから自ずとシャッタースピードは遅くなりますので、実は動体撮影は苦手だったりします。
ただでさえ動体を撮るのが苦手なパノラマ撮影で、さらにブラケット撮影しようとすると、そのシャッター間のタイムラグと、シャッタースピードの時間が合わさって、最初と最後では、動体はかなり動いています。そんな状態の写真を合成すると、動体はブレてしまうこと必至です。
逆に、動体をブレないように撮るためには、HDR無しで各アングル一発撮りで撮りますが、そうすると、光源直視アングルは白トビしたり、暗部の黒ツブレにはある程度の妥協をしないとイケません。
どちらを優先するか、ココも前提知識として持って頂く必要があります。
動体が頻繁に現れ、さらに明度のコントラストが非常に大きい環境下でも、撮影が出来なくはないです。
出来るだけダイナミックレンジの広い撮像素子のカメラを使い、出来るだけ明るいレンズを使い、RAWデータで撮影し、現像時に擬似的に同一写真から露出を変えて現像した複数の写真を用いてHDR合成したものを使うことがあります。
工程そのものが少々面倒で、しかも1枚のRAWデータの中だけではダイナミックレンジをめいいっぱい広げるというところまでイカナイのが実情です。
撮像素子のダイナミックレンジが非常に広いFujiFinpixF5Proを使う方法でデータそのもののダイナミックレンジを広く撮影する方法や、ミラーアップしてブラケット撮影が出来るPentaxK-7を使ってブラケット撮影時の速度を出来るだけ速くする方法なども考えられますが、模範解答というところまでには届いてません。
正直、動体がある撮影下では、HDR撮影は出来ないので、光の情報量は少ないですよ、ということを知ってほしいと思います。
というワケで、3つの大前提条件をお話しました。
- 再撮影が困難
- ウォークスルーが出来ない
- 動体があると、光が限定される
パノラマVR制作を依頼される方には、ぜひ上記の3項目を念頭に置いて、お仕事を依頼していただけたらと思います。
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